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2004 5
マンスリーレポート
患者の物語 チャイ・ラさん
患者の物語
チャイ・ラさん
 カンボジアでは、劣悪な医療事情の犠牲となった悲惨な情景を、日々目の当たりにします。

 チャイ・ラさんは16歳のとき、家の屋根にあいた穴をふさぐ葉を採取しようとやしの木に登っていたときに、木から落下しました。その後、徐々に腰から下が麻痺していったそうです。しかも、同年に母親が死亡し、孤児になってしまったのです。
 半身麻痺のまま一人取り残され、恐怖におびえていたチャイさんは、障害者のための病院に収容されました。しかし、動かない両脚はやがて硬化して曲がらなくなり、ついには車椅子に座ることもできなってしまったのです。以来数年間、台車に乗って自ら手で床や地面を押すというのが、唯一の移動方法だったといいます。

 ところが、幸いなことに、シアヌーク病院との出会いがあり、整形外科医の治療を受けられることになったのです。
 英国から当病院を支援に訪れていた整形外科のマイケル・ハバード医師は、チャイさんの左足の親指の骨の一部を削り、膝とかかとを動かせるよう解放する処置を施しました。この手術のおかげで、彼は車椅子に乗れるようになり、さまざまな面で、人間としての尊厳を取り戻すことができたのです。

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